困難な結婚 内田樹⭐︎⭐︎
タイトルに惹かれて手に取った。
基本的にQ&A方式で書かれている。
一貫して書かれているのは
結婚が「セーフティネット」であるということ。
繰り返し出てくるが、
「富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も」
ではなく「貧しき時、病める時」にこそ結婚の意味があると。
経済的、精神的・身体的支えが人間には必要なのだと。
確かにそういう時にこそ「ありがたみ」というのは
ひしひし感じるものかもしれないが、「セーフティ」(安全性)
なんてことはちょっとお金がない、ちょっと風邪をひいてしまった時くらいしか
役立たないのではないかということを思ってしまった。
リーマンショックや未曾有の大災害で何もかも失ってしまった時
セーフティネットで無くなった結婚は意味のないことになってしまう。
おしゃべりついでに言うなら、
私はそんな状況のための「セーフティネット」よりも
「誰かのために」よりも強い
「その人のために」乗り越えようとする、よりよくあろうとすること、
内田さんの言葉を借りるなら、心のための「セーフティネット」が必要
かなと思った。
何れにしても、内田さんの語りは
「それでいいんじゃないかな。」
「そんなもんじゃないかな。」という調子で、調子だけならまだしも
なんだか確信めいてくるようなものがなかった。
期待していたからこそ、残念でした。